IBS通信(タイトルが入ります)

2012年10月(第152号)

企業理念=技術と真心で『常に進化し「きれい」を追求する会社へ』
今年のテーマ=『共存共栄』自らの成長に責任を持つ=進化すること



「モノ」から「コト」「ココロ」の時代へ(続編)


暑い日が続いていますが、皆さんお身体は大丈夫ですか?
9月に入ってからも30度を超える日が続いております。雨もしばらく降っていません。乾燥し体調維持するにも大変ですが、皆さん各現場にて毎日頑張って下さい。

さて、先月号でお話しました、あなたの行なった「モノ」よりも、行なった「コト」が相手の「ココロ」に響く話、覚えていますか?
最近、職場で実際にそのような出来事はありましたか?
もしくは自分自身で意識して行動してみたことありますか?

私自身は自分で意識して、行動を変えたことが1つありますので紹介します。

それは、笑顔です。

毎朝ひげをそるときですら、自分の顔も見ていませんでしたが(今もみていませんが…)、最近は表情、特に笑顔を鏡の前でしてみます。
お客様にお会いした時に、初対面の人でも誰でも、また自分がたとえ辛い時でも、必ずこの笑顔を見せようと、想像しながら鏡の前で表情を作っています。いつどんなときでも、コトが起きても大丈夫なように、ストーリーをつくる準備段階ですが、まずは笑顔で臨もうと思って始めました。

もう一つ興味深い話をご紹介します。
皆さんサクラクレパスという会社ご存知ですか?あるNHKの朝の番組で、サクラクレパスという、1921年(大正10年)創立のクレヨンの草分け的ブランドをもつ会社を紹介していました。皆さんも一度は聞いたことがある会社ではないでしょうか。
実はこの会社、昭和50年代頃から少子化の影響をうけ業績が悪化しはじめたそうです。その時に、会社の未来をかけ取り組んだのが筆記具の市場だそうです。先発メーカーがひしめき合う筆記具の市場を独自の商品開発力で切り開き、シェアを広げてきたそうですが、商品開発の切り口は長年積み重ねてきた「きれいな色」という自社で培ってきた技術だそうです(やはり技術は必要なのですね)。
ただ技術だけでは売れません。

皆さんも一緒に考えてほしいのですが、この他社にはないであろう自分達の技術を、筆記具では後発のこの会社は、いったいどのような方法で、お客様を増やし売上を伸ばしていったのでしょうか?
それは技術や「モノ」だけに頼ることなく、「コト」ストーリーを重視し「ココロ」の作戦が功を奏したようです。つまりサクラクレパスでは、初めから「モノ」を売るのではなく、絵を描くという「コト」を普及させることにより、売上げを伸ばしたそうです。

例えば、その一つの活動として、小学校単位での絵のコンクールを実施し、個人で表彰するのではなく、良い絵をたくさん描いた学校を表彰してきました。つまり学校を巻き込んで、絵を描くことを普及させて、お客様を増やしたそうです。
また最近では、幼稚園や保育所に子供に絵の描き方を教える講師を派遣するビジネスも始めているそうですが、その講師は、例えば焼きそばの絵を描くときには、ソースを混ぜて絵を描かせ、美味しい匂いとともに、絵を描くことを感動体験として印象づけています。
まさに講師自身から「コト(ストーリー)」を創っているのです。

このように「モノ」を売るのではなく、モノを使う楽しみ、つまり感動体験という「コト」を提供するというのは、実はビジネスの世界では、マーケティングと呼び、多くのマーケティングの中でも手本となる手法なのです。
そして、自社の「強いブランドを構築する」ということにつながっていくのでしょう。
実はこのサクラクレパスは、創立当初から、子供達が綺麗な色を使って自由に絵が描けるようにとクレヨンとパステルのいいところを組み合わせて開発を続けてきたバックグランドがあり、絵の具や全部が芯の色鉛筆など学童市場を中心に成長してきた経緯があります。
「焼きそばの絵にソースを入れる…」という発想など、我々の普段の仕事の中にも、やればできること、誰かのためになることが1つでも生まれることを望みます。
そしてそれがやがて企業文化になっていくのではないかと思っております。

お客様は常に「最高のモノを求めている」のだろうか?

前頁で「モノ」から「ココロ」の話をしましたが、その一連のながれの中で、我々が自分達の仕事に対して考えなくてはならないのは、その「コト」を自分で演出することです。そのためには、実は相手=お客様のことをよく知っていないとピンポイントなストーリーが描けないのは皆さんも、感じているのでないでしょうか。
例えば、先月お話した車の話を思い出して下さい。いくら自社の車が良い性能だと言っても、必ず売れるわけではなく、その対象=お客様=家族がそもそも車に乗ってどこへ行くか?
もしくは家族が旅行するコト自体を知らない人は、この車を売ることはできないのです。

さて、皆さんの現場に話を戻しますが、自分のお客様のことを振り返ると、どれだけのことを皆さんは知っているのでしょうか? 創設日、社名の由来、その担当者自身のことなど、アンケートで50文字以上表現できましたでしょうか? 描けないもの、見えないものでも、「キリン」や「時計盤」の事例のように、1つ1つ書くことによって、いつか描けるようになるという話も前回しましたが、いかがでしょうか。
50文字以上書く努力をしてみましたか?ちょっとキビシイことを言いますが、一生懸命自分の業務をこなしている人は多いと思いますが、実際にお仕事をいただいているお客様のことをしっかり説明できるスタッフがどれだけいるか、となると不安です。
私は一生懸命やっているのに、会社は理解してくれない、もしくはお客様は理解してくれない…と思い始めたら、症状が重いと思って間違いありません。
どうでしょう、例えば車の話ですが、「ウチの商品を買ってください、お願いします」と言い続けても、なかなか売れないのと同じではないでしょうか。本来、現場の人も、業務担当者も、営業担当者も、全員当てはまることでしょうが、まずお客様のことを理解しない限り、(どこが困っていて、何故当社に仕事を依頼して、何をお客様が求めているのか)、何故我々が働いているのか、何故自分自身がここにいるのか、理解できないしょう。
まずはどこからお金をいただいているのか、もう一度確かめてみましょう。
もちろん、お金は、会社ではなく、お客様からお金をいただいているはずです。

さて、お客様を理解した上で、さらに考えてみましょう。
お客様は我々に対して「最高のモノを求めている」のでしょうか?つまり「最高の仕上り」を求めているのでしょうか?それはもちろん、つねにピカピカでチリひとつない状態にこしたことはありませんが・・・そのような状態を常に維持するには、いや維持できないのは、皆さんも百も承知ですよね。
モノではなく、コトということを考えると、我々に仕事を頼むとどんな良いコトがあるか・・・お客様は望んでいるのではないでしょうか?
こちらからみて、いくらイイモノ(技術)であっても、お客様にとって必要なければ、価値がないのです。
お客様にとって大事なのは、「その商品・サービスは、自分に必要かどうか」 「その商品・サービスは、課題を解決してくれるか」ということです。

すなわち、お客様は「最高のモノを求めている」わけではなく、「自分にとって最適のものを求めている」わけです。
車の例でいうと、日産セレナを購入する方は、スポーツカーなど最高級の車がほしいわけではなく、彼ら家族にとって最適な車が必要だから、最適なワンボックスカーを購入するのです。
お客様にとって最適かどうか、最適なストーリーをつくれるかどうか、そして最適のものを提供するには、お客様のことをどれだけよく知っているかどうか、が重要であるということです。

「牛丼」vs「ラーメン」

例えば「ランチ」。
皆さんは、常に「価格」の安い食事を摂るでしょうか?
過去の社内報(H22年9月号)の時間の使い方【効果】vs【効率】の中でも話をしましたが、時間の効率だけをめざすなら確かに「牛丼」などのファストフードでしょう。
【うまい×はやい×やすい】です。
牛丼の逆、つまり「うまい×やすい×はやい」で争っていない代表は「ラーメン」ではないでしょうか。
ラーメンは、それなりに価格の高い食べものです。また1食1食いちいち麺をゆでるので、調理に時間もかかります。でも、今や「国民食」と言われるほど、多くの人がラーメンを食べています。
ラーメンを食べる人は【効率】ではなく【効果】を重視して食べているでしょう。
また「うまい×やすい×はやい」で争っている「牛丼」は、大手チェーン店しか残っていません。それに対して、「うまい×やすい×はやい」で争わない「ラーメン」は、小規模店でも頑張っているところがたくさんあります。

つまり弊社のような中堅・中小企業は、「牛丼ビジネス」ではなく、「ラーメンビジネス」を参考にすべきではないかと思います。
「牛丼」と「ラーメン」の違いは何でしょうか?

もしあなたがお客様だったら、少しでも「価格」の安い会社に頼みますか?

また車の例を挙げましょう。
ここに、三台の「自動車」があります。(下記は希望小売価格。ハイブリッド除く)

●トヨタ  ヴィッツ 120万〜160万円
●ホンダ  フィット 123万〜167万円
●ローバー ミニ   220万〜440万円


上記の三台は、サイズでいうとほぼ同じです。
でも申し訳ないですが、「ミニ」は「ヴィッツ・フィット」よりも「性能」は劣ります。

それでは、なぜこれほど価格が違うのに「ミニ」が売れるのか?
それは「ミニ」は「ヴィッツ・フィット」とは営業戦略が違うからです。
「ヴィッツ」や「フィット」は顧客を特定せず、幅広い層に売ろうとしている車です。
だから、「車にこだわらない人」にとってホントいい車です。車体は小さいけど、社内は広くて、燃費がいい。だけど、「車にこだわらない人」たちが買うので、購入の際には、競合車種と価格や納期を競わせます。
これが、「性能(品質)×価格×納期」の争い「うまい×はやい×やすい」です。

それに対して、「ミニ」は、「ミニがほしい人にミニを売る」という営業戦略を持っています。
あの雰囲気が好きだという人、結構多いでしょう。
私の知人にも「ミニ」ファンがいて、嬉しそうに大きな身体を折り曲げて乗り込んでいますが、それがいい感じなのでしょう。
「ミニがほしい人」は、あたりまえですが「ミニがほしい」わけですから、他車と競合させることはありません。
つまり価格で競争する必要がないということです。

このように「牛丼」の吉野家などの大手飲食チェーンや、トヨタ、ホンダなどの大手企業なら、「性能(品質)×価格×納期」で争ってもいいでしょう。
しかし、弊社のような中小企業は、「性能(品質)×価格×納期」の争いは避けるべきだと思います。
「ラーメン」や「ミニ」のようになるべきです。

違いは、「営業戦略」にあります。
「モノ」より「コト」、最高より最適の発想にあるのではないかと思います。

社内メッセージの受付について

社内報への感想、現場で嬉しかったことや工夫していること、また身の回りで起きたことのご報告など、皆さまからのお便りをお待ちしております。
メッセージに「社内報へのメッセージ」とお書き添えの上、次回の出勤簿と一緒にお送りいただくか、FAXまたはメールにてお送りください。
紙面のスペース上、一部内容の省略、または掲載月が遅れる場合がありますのでご了承ください。

  • パソコンから
  • 044-742-8315
  • 044-742-8316