2018年10月号(2018年9月25日発行:第224号)
皆さまこんにちは。記録的な猛暑も一段落し、日中も秋を感じられる日が多くなりましたね。9月23日は秋分の日です。春分と同じ“昼と夜の長さが同じになる日”と認識している方も多いと思いますが、法律(祝日法)では「先祖を敬い、亡くなった人をしのぶ日」として1948年に制定されています。秋分を中日とした前後三日間を合わせた一週間を「秋のお彼岸」と言いますが、皆さまの中にもお墓参りや先祖供養の法要を行う方もいらっしゃるのではないでしょうか。仏教では極楽浄土は西方にあるとされており、太陽が真西に沈む春分と秋分の日には仏様に祈りを捧げるには最適であると考えられています。また秋分の日を目安に収穫作業を終えていたことから、各地で豊作を祝う祭りも行われています。
“暑さ寒さも彼岸まで”という言葉通り、これからの季節は旅行や運動など、何をするにも良い季節です。朝晩や日々の気温差に気を付けながらも、ゆっくりと外を歩いて秋ならではの楽しみを見つけられるといいですね。
【業務連絡:作業着について】
夏から秋へと季節も変わり始めて、涼しい日が増えてきました。夏からの雇用で長袖をまだ持っていないなど、作業着に関して何かご要望がありましたらアイビーエス本社までお問い合わせください。現場によっては男女別ではなくフリーサイズの作業着もあります。ご連絡の際は念のため普段着ている洋服のサイズを教えてください。在庫が少ないため、要望を受けてからの発注となります。ご準備できるまでに少しお時間がかかってしまう可能性がありますので、ご希望の際は余裕をもってご連絡をお願いします。
【役立つ!コミュニケーション術 第4回】
第1回は非言語コミュニケーションが重要であるという「メラビアンの法則」、第2回は人に何か与えられたらお返しをしたいと思ってしまう「返報性の原理」、第3回は様々な面で効果をもたらす「笑顔の力」について取り上げました。今回は『初頭効果と新近効果』というテーマでお伝えします。
●初頭効果とは●
初頭効果とは、一言で表すと『第一印象が大切』ということです。ポーランドの心理学者ソロモン・アッシュ氏により提唱され、彼は次のような実験を行いました。まず被験者を二つのグループに分け、ある人物の性格を表した形容詞の順番だけを変えてそれぞれのグループに見せます。その形容詞の“順番の違い”が、その人物の印象にどのような影響を与えるのかを調べたのです。
A)その人物は…知的で、勤勉で、衝動的で、批判的で、頑固で、嫉妬深い人
B)その人物は…嫉妬深くて、頑固で、批判的で、衝動的で、勤勉で、知的な人
実験の結果からお伝えすると、Aの順で形容詞を見たグループはその人物に良い印象を持ち、Bの順番で見たグループは悪い印象を持ちました。Aは比較的ポジティブなイメージの『知的』という形容詞を最初に見たことで、「いくつか欠点はあるが能力のある人」という印象が残りました。一方Bはネガティブなイメージの『嫉妬深い』という形容詞を先に見たため、「能力があってもそれを活かせない人」という印象を持ったのです。
この実験結果から、「最初に受けた印象がその後も強く影響する」ことが分かります。言い換えれば、最初の印象が頭に残ってしまうと、その後に得た情報は最初のイメージに引きずられ都合の良いように解釈されやすいと言えます。例えば親戚の子供が成人して大きくなって、普通の大人と変わらない容姿になっても『かわいい』と思ってしまうのも初頭効果の一つです。また初めて仕事を任せた相手が失敗して『仕事ができない人』だと感じてしまうと、その後相手がいくら頑張っても空回りしているように見えてしまう、というのも初頭効果に当たります。
●新近効果とは●
初頭効果とは逆に、「最後に示された特性が記憶に残りやすく、その後の判断に大きな影響を与える」ことを新近効果といいます。アメリカの心理学者N・H・アンダーソンは、次のような実験を行いました。被験者をいくつかのグループに分けそれぞれ陪審員として模擬裁判を行い、弁護側に6つの証言、検事側に6つの証言を用意しました。
A)弁護側と検事側の証言を2つずつ交互に出す
B)一方の証言を続けて6つ、その後もう一方の証言を続けて6つ出す
弁護側、検事側の意見の順番を変えて複数回実験を行いましたが、被験者たちはいずれの場合も最後の証言が弁護側であれば弁護側、最後の証言が検事側であれば検事側に有利な結論を出しました。この結果から、アンダーソン氏は「人は違う情報源から多くの情報を与えられると、最後に得た情報の影響を受けやすい」と結論付けました。
身近な所では、お店の口コミを見ていくつか悪い意見があっても最新のコメントが肯定的だと良い印象を持ったり、飲食店で注文品が届くのが遅くて不満を持っても、最後に丁寧なお詫びを受けると一転して良い印象が残る、といった場面が挙げられます。
●二つの効果●
初頭効果と新近効果、矛盾しているこれら二つの効果はどちらが重要なのでしょうか。結論は“どちらも大事”なのですが、右下の表にまとめた通り、初頭効果が起こりやすい場面、新近効果が起こりやすい場面はあります。初頭効果は一人から並列の情報を与えられ、相手が自分の観察力に自信がある人である程起こりやすい傾向があります。逆に、複数人から反対の情報を与えられ、自分の観察力に自信がない人ほど新近効果が起こりやすいです。
人は「最初と最後の情報が最も印象に残りやすい」という性質を持っています。対人関係でいえば、初めて顔を合わせて挨拶した時と、別れ際の挨拶の印象が重要となります。また相手を説得したいときや商品・サービスの説明をする時、メリット・デメリット・メリットの順で話すと初頭効果と新近効果の両方に対応することができます。例えばある一つの部屋をキレイにするサービスを提案する時、「私たちはこの部屋をキレイにすることができます。作業時間は長めですが、懇切丁寧に行います」といった具合です。
物事の最初や途中で何か失敗してしまっても、一番最後の対応で挽回できる可能性は十分残っています。反対に初めの印象が良くても、別れ際の一つの失敗で悪い印象を持たれてしまわないよう、最後のお辞儀一つまで気を抜かない必要もあります。これら二つの心理効果を知っていることで、自分の印象を意図的にマネジメントすることができると言えます。