IBS通信(タイトルが入ります)

2011年8月(第138号)

企業理念=技術と真心で『常に進化するクリーンな会社へ』
今年のテーマ:『競存競栄』=競い合い、共に成長を支えあう

脳トレ・・・アタマの体操しながら「豆知識」を増やそう〜剥離剤編〜

第1問・・・剥離剤はワックスの樹脂成分が固く結合しているところを切断する強力な洗剤ですが、ワックス層の最下部まで浸透するには、塗布してからおよそ何分程度、かかるでしょうか?
(1)1分くらい
(2)5分くらい
(3)20分くらい
(4)1時間くらい
(解説)剥離剤は浸透力のある界面活性剤を主としたものと、溶剤を主とするものがありますが、現在は溶剤系のものがほとんどです。これはワックスの分子を溶かしながら、ワックス層の基部まで分解していきます。そのためワックス皮膜の厚さにもよりますが、塗布されたワックス層が5枚〜以上であれば最下部までは最低でも20分は必要です。
正解は(3)
最下部まで浸透するように剥離剤を塗布しなければなりませんが、塗布時の注意事項としては、
・剥離が思わぬところまで流れ出る可能性があるので、養生をしっかりすること
・乾燥しないようにすること。乾燥しそうになったら、散水するなど、常に水分を保つこと
・転倒事故を防止するため、作業箇所は完全に通行止めにすること 等が挙げられます。
また作業上の注意事項としては、
・前回の剥離作業から長い期間経過している場合などは、1回の剥離作業では古いワックスは完全に除去されませんので、もう1回〜剥離作業を行って、完全に除去されたのを確認してから新たにワックスを塗布すること
・またアルカリ分が床面に残っているとワックスが完全に密着しない(密着不良の原因になる)ので、中和(水拭き)をしっかり行うこと
・幅木など床面からの立ち上がり部分も古いワックスが飛び散っている可能性があるので、床周辺も含めて作業を行うこと などが挙げられます。


第2問・・・剥離剤は強力な洗浄力(頑固な汚れも除去する)ので、日常清掃、定期清掃等さまざまな洗浄作業で、ほかの洗剤に混ぜて使用する場合もあるかもしれませんが、それについてどのように考えるのが正しいでしょうか?
(1)他の現場、他の作業員もやっていた方法なので、かまわない
(2)混ぜる程度なら環境的にも悪影響がでないので、入れてもよい
(3)汚れ落ちが早いのなら、この方法を全現場採用したほうがよい
(4)建材によっては傷める可能性があるので、多用すべきではない
(解説)剥離剤は床用洗剤と同じアルカリ性のものですが、大半の床用洗剤が弱アルカリ性であるのに対して、剥離剤は強アルカリ性であり、溶剤も多く含まれています。しかも、アルカリ性の成分の中にはアミン塩なども含まれています。
樹脂加工されているものは、樹脂分子が金属(多くの場合は亜鉛)を介して強く結び付けられています。この現象を「金属架橋」といいますが、この金属架橋はアミン塩などの強アルカリ性の物質に触れると破壊され、樹脂同士の結び付きが弱くなり、皮膜が剥がれていきます、これが溶剤の作用であり、剥離剤の原理です。
これに対して、通常の(弱)アルカリ洗剤は、前回の社内報にてお伝えしたように、洗剤の浸透力によって、表面についた細かいキズ等に洗剤がしみこみ、表面が湿って膨らんだ状態になるので、それをブラシやパッドなどでこすり、汚れを除去する原理となっています。
このとき、洗剤で洗ったあとの表面は、洗剤分をしっかりと水拭きで拭き取れば、乾燥後は元の状態に戻ります。それに対して、剥離剤を洗剤に加えて洗った場合は、その建材の表面そのものが破壊、切断される状態になり、樹脂の分子はバラバラで崩れやすくなることでしょう。
具体的な建材の例を挙げますと、蛍光灯の反射板、ブラインド、などヤニ汚れなどを除去したいときなど、使用したくなりますが、1年後2年後には【洗剤焼け】により、汚れも付きやすく、また黄ばみやすくもなりますので、使用すべきではありません。
よって、正解は(4)

第3問・・・剥離剤(強アルカリ性)に対して、悪影響が明確にでる床材は次のうちどれでしょうか
(1)磁器タイル
(2)タイルカーペット
(3)リノリウム床
(4)みかげ石
(解説)磁器タイルはアルカリ性には耐久性があります。タイルカーペットには、ワックスを塗布しないので、剥離作業はありませんし、みかげ石は耐薬品性がありますので、通常の使用なら影響はありません。油分の含んだ床材はアルカリ性に強い影響、強いダメージを受けてしまいます。 油分のある床材は、リノリウムです。正解は(3)
この床材は、木粉やコルクなどを亜麻仁油でねり、板状にして乾燥させたものです。木のような風合いや歩行間があり、抗菌効果もあるので病院、介護施設等で最近使用されております。見た目は塩ビ系のタイルと違いありませんが、アルカリ性の洗剤を塗布したとたんに、変色そして床材表面が破壊され、ザラザラになってしまうなどの事故につながりますので要注意です。

サービス業としての3原則①:相手=お客様を知る(②社会的ルール/③自分を知る)

お客様のことをより知ること、より理解することは、全く知らずにして作業するより、当然貢献度が全く違ってきます。お客様との信頼度も違ってきます。今回は病院の経営状況など抱えている問題点を知ることにより、我々がどのように清掃を通じて、お客様をサポートできるか考えていきましょう。クリーニングの5原則をはじめ、安全対策など幅広いサポートがクローズアップされるかと思います。

≪現在の病院の状況について≫
平成21年度の全国自治体病院協議会調査結果よりますと、人の命を預かる病院とはいえども、日本国経済同様、厳しい状況を強いられているようです。つまり全体の7割が経営的な圧迫があると言えます。

自治体病院     :黒字=8.6%   赤字=91.4%
その他の公的病院 :黒字=52.2%  赤字=47.8%
私立病院      :黒字=55.1%  赤字=44.9%
全体        :黒字=31.2%  赤字=68.8%

では、どのような点が病院経営の状況を圧迫しているかと言いますと、やはりお客様の声、=患者様からの評価(評判)となります。評価(評判)が極端に下がる1つの要因として、院内感染が挙げられます。
例えば、最近ですと、2010年に帝京大学付属病院内で、多剤耐性アシネトバクター・バウマニに46名の方が感染した、などといった事故も記憶に新しいのではないでしょうか。このように一度院内感染が病院内で発生すると、例えば、耳原総合病院の2000年(平成12年)に起きた3名が多剤耐性アシネトバクター・バウマニに感染した事例を挙げますと、院内感染発生後、
・入院収入が事故前より約30%減少となり、外来収入も約15%減少
・その他感染した患者への治療費が約950万円
・細菌検査等の費用1880万円、患者との和解金4500万円
これらは全て医療費請求できない、つまり病院の自己負担増となります。このような病院コスト増、訴訟リスクなど、院内感染という1つの事故が一気に病院経営を圧迫することに直結する可能性もあるということです。

≪病院清掃に求められること≫
このような状況下で、我々の仕事=「きれいにする」清掃は、どのように病院というお客様をサポートできるでしょうか、考えてみましょう。①美観(衛生的清潔さ)はいうまでもなく、②効率性(品質とコストバランス)という限られた予算のなかでどれだけ品質を保てるか、③接遇(マナーと身だしなみ)などを意識し、患者様や来院者の方によい印象を持ってもらう努力が必要であり、そして病院特有の特徴として、④院内感染防止(汚れの拡散防止)が挙げられるのではないでしょうか。最後に感染防止、つまり感染源となるウィルスという汚れを遮断するにはどのような清掃をしたらよいのか?それには感染経路を理解し、感染症のウィルスの特徴を理解することから始まります。

① 建材(部位):人の手・ドアノブ、手すり、便座、スイッチ、ボタン等の表面から感染=接触感染 汚れ(ウィルス):ノロウイルス、ロタウイルス、腸管出血性大腸菌(O157)、サルモネラ菌など発症
② 部位:テーブル/棚など(咳、くしゃみや会話によって飛んだつばやしぶきに含まれる病原体を吸入することで引き起こされる感染=飛沫感染。飛沫は水分を含むため、届く範囲は感染源から1〜2m程度 汚れ(ウィルス):インフルエンザ、風邪症候群、おたふく風邪、風疹(ふうしん)、などの発症一因
③ 部位:空間に浮遊して広範囲に広がり、病原体は埃と共にも浮遊し、これらを吸入することで伝播する箇所で発生する感染=空気感染 汚れ(ウィルス):ノロウイルス、麻疹(はしか)みずぼうそう、結核菌 など発症する一因

最近のトピックス【らしさとは・・・】

1.企業の成長も国家経済成長も成長の意味を肥満と混同してしまった、とはドラッカーの名言です。売上規模を上げ、社員数を増やすこと、GNPが大きいこと、人口が大きいことは良いことかと。
■成長とは売上金額でもなく、資金の多さでもなく、社員の数でもない。社会へどれだけ貢献するか。社会の機関としてどれだけ役に立つ組織か。量的な成果ではなく、質的な成果が求められる。 しかしながら人も企業も、公的機関も、国家も人類の長い飢餓の歴史を生きた遺伝子のせいか、成長の意味を肥満と混同してしまっているとドラッカーは言います。脂肪を蓄え、体重を増やし、忙しく動き回るのは人だけではなく、企業も、公的機関も、国家も同じだと。その結果がGNP至上主義、金融資本主義となって実物経済も含めてバブル現象を生んだと。「貯蓄から投資へ」のキャンペーンも国家レベルの「成長神話」のように思えませんか?
■なすべき成長のマネジメントとは、脂肪を筋肉に、体重を健康度に、多忙を成果に、焦点を当てなければなりません。
2.人の成長と企業の成長 収入が半分になっても、2倍の人に貢献すれば、成長は2倍になっている。企業も人も成長するためには、成長につながらなくなった活動を切り捨てることによって成長するというのです。最も貴重な資源である時間を活用するために、成すべきことを成すには、何かを中止しなければならない。GEは常に活動の中止、事業の売却、手抜きを検討しているそうです。あれもこれもと気のついたことを優先順位も考えずに手を出してしまっている自分に気づくひとは多いでしょう。成長とは物理的量ではなく、社会に貢献することである。楽しんでもいないし、成長のための準備にもなっていない活動は中止しなければならない。仕事からではなく、時間から入らなければならない。
プロビジネスマンとは?
ズバリ「成果の上げられる人」 「結果を出せる人」。これ以外に答えはない。 そうなると、管理職、ましてや幹部社員は「組織を統率して、継続して成果を上げられる人」ということになる。継続的に、という意味は「成果を上げながら、次の成果のために同時に組織を強くする取組みができる」という意味である。 ドラッカーは、プロフェッショナルの一番の条件として「外に向かって成果を上げて貢献し」「自らの成長に責任を持つ」ことだと言っている。 管理職や幹部社員は、ドラッカーのこの言葉の「自らの成長」を「自分の組織(チーム)の成長」と読み替えなくてはならない。「成果を上げる技術」「自分の率いる組織を成長させる技術」をきちんと持ったプロ中のプロになっているかどうかを厳しく見つめなおさなくては駄目。
ある社長さんが自社のある幹部についてこう言ったんだ。「まあ、しかし彼も頑張ってはいますんでね」 これだから駄目なんだ。言っておくが、プロ中のプロにとって「頑張っている」なんていう言葉は意味のない言葉なんだ。若手社員ならばともかくも。
元プロサッカー選手の中田英寿氏の言葉を紹介しよう。「頑張るのは当たり前で、あえて口に出して言うことではなく、その上で結果を出すために何ができるのかを考え実行するのがプロでしょう」 概して社長さんは、幹部社員に甘い人が多いね。この点は早急に改善しないと。幹部社員を甘やかして放置すると、組織全体が腐ってくる。

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